2010/01/27

卒論やらレポートやら。




アトリエを見学している学生達の卒論が

続々完成しています。

この↑写真集「はじめにある風景」は

日大芸術学科のユリア作。

アトリエに流れる空気を写真に撮る、という試みです。




撮り続けた半年の間には、悩んだり迷ったり、

時にはアトリエにやって来て、

「自分が何を撮ってるか分かんなくなってきた〜」

と、落ち込んだりもしていましたが

予想通り素敵な作品に仕上げました。

40㎝×32㎝という大きな作品ですが、

出来立てホヤホヤを担いで来てくれたのでした。

ちなみに「はじめにある風景」というタイトルは

アトリエにいるみんなの姿勢、心の在り方は

人が生きる上で何よりも最初にあるべき姿なんじゃないか、

という意味を込めてつけたそうです。

ユリア、素敵な卒制をありがとう。




こちらは千葉大卒のミヒロのレポート。

本人の強ーい希望により、

今月から土日のクラスを中心にアトリエ研修生として

勉強をする事になりました。

レポートの一部をご紹介しますね。



〜レポート一部抜粋〜

私は、AEPに自然な心を感じています。

ダウン症の人達の空気にはもちろん穏やかで優しい空気が流れていますが、

そこに携わる自分も穏やかでいられる、そのままの心でいられる場が

AEPには存在してると思っています。

それにはAEPの活動の根底にも自然な世界を求める心があるからなのではないか、

と考えてみました。


その指導法やそれによって引き出される感性は

どんな人間にも普遍的に存在するものであると考えられます。

つまり人間に元から備わった自然な感性を引き出すというのがAEPの活動であり、

ダウン症に限ったアトリエという点では独特でも、

どんな人にも適応する非常に普遍的なものであると捉えることが出来ます。

芸術や美術、教育、福祉、様々な枠組みを含むAEPの活動は、

それらの枠組み全てを通して自然な世界を求める活動をしていると

要約出来るかもしれません。


以前私は自分でアトリエを開いた場合は

ダウン症や障害者に限ったものではないものがいいと想定していました。

それはそう限ることが不自然な印象があったからです。

しかし非常に独特に見えるAEPの活動の根っこにある自然への思いに気づいたときに、

自分の求めるアトリエの対象はダウン症であっても

ダウン症でなくてもかまわないと感じました。

AEPの活動は自然を求めるものであり、

自然に生きたい私の思いに合致していると感じられる以上、

ダウン症という切り口はひとつの形に過ぎずこだわるべきところではないと思うのです。


これからのダウンズタウンの実現に向けての私自身の期待、

こういったことからも、私に出来ることがあるならば力になりたいと考えました。



と、まあ、こんな嬉しいレポートでした。

毎月1回学んだ事をレポートする、というのが

アトリエ研修生のゆるーい課題です。

これまで研修制度というものはありませんでしたが、

ミヒロの為に作ってみました。




先々週の月曜の朝10時「ピンポーン」。

スタッフミーティングには30分早いし、宅急便かな?

とドアを開けると、そこに居たのは

満面の笑みのアカネエ!

「でけたああああ!!!」

よく見ると手には何やら白い本が。

そうです、こちらも卒論完成です!

その名も

「ダウン症の人達のアトリエ、『エレマン・プレザン論』」



「すごい!おめでとう!お疲れさま!一緒に朝のお茶飲もう!」

今までプリント状で読んでいた文章が

しっかり装丁されて1冊の本になっています。

アカネエも本当によく頑張りました。

普段自分が感覚的に見ている事を、

考え、しかも人に伝わる言葉に変換する作業は

きっと大変だったと思います。

というか、大変そうでした。

それでも安藤礼二先生の丁寧なご指導のもと、

無事に完成しました。

一時はどうなることかと思いましたが、

とにかく、お疲れさんでした!

献本ありがとう!

長編なのでご紹介はしませんが

アトリエ待合室に置いてありますので

ご覧になりたい方はご自由にどうぞ。(※1冊しかないので持出禁止です!)





こちらは多摩美3年生の最後にモロちゃんが書いたレポート。

エアコンの風に吹かれて爽やかな写真です。

テーマは解剖学者の三木成夫さん。。

私も大好きで、生きていたらお目にかかりたかった方No,1です。

ちなみにNo,2は数学者の岡潔さん。

三木さんは解剖学者でありながら芸大の教授をされていた

養老孟司さんの先生でもあります。

その懇々と湧き出るスケールの大きな世界観からは

いつも色々なヒントを得ています。


来年、卒論に取り組むモロちゃんは、

三木さんを用いてアトリエを論じようと計画中。

とっても楽しみ〜。

文才豊かなレポートは全体を味わう系なので、

抜粋はせず、こちらも待合室に置いておきますね。



帰り際、ユリアの卒論を見て感動するモロちゃん。

「みんなの事、こういう視点で見ていたんですね。」

人の卒論やレポートってあまり見る機会がないですが、

アトリエに提出されたものは、ほぼオープンにするので

学生同士はお互いに見たり読んだりする事が出来ます。

同じアトリエの現場を見ていても、人によって

視点や感じ方、考え方が違うという事を知るのは

なかなかいいんじゃないかなーと思います。




それにしても、読みもの一杯の先週でした。

私達はどこの学校の先生でもないのですが(笑)

完成間近の頃にはみんなから

「今刷ってる!」「今製本中!」

「明日の朝出来そう!」「早く見せたい!」

などなど臨場感たっぷりの携帯メールが届き、

論文やレポートが出来た当日か、翌日には

それぞれが凄まじい勢いで持って来てくれたので

達成感を共に出来ておもしろかったです。

そして、嬉しかったです。


みんながダウン症の人達と出会う中で

様々なことを感じたり、学んだり、

時にはダウン症の人達に与えるものがあったり、

アトリエの中でそんな光景が自然になってきたことが

本当に嬉しいです。


学生達のほとんどが、

今まで出会った事のなかったダウン症の人達と、

アトリエの事を大切に思ってくれて、嬉しいです。


夜遅くまでインタビューを採っていったり、

私達と意見が割れた時には納得するまで

メールのやりとりをしたり、

みんなの熱意を体で感じた数ヶ月でした。

とことん付き合った(つもり)なので、

完成の時、あんなに一緒に喜べたのだと思います。



1人分じゃない分、どう考えても

自分の卒論の時より頑張った気がします!


来年の卒論組のみんなは

今年一緒にがんばりましょー。