2016/02/11

ハルコ

ご無沙汰しました。
立春も過ぎ、志摩は暖かい日が増えてきました。
皆さんの所はいかがでしょうか。

ブログを更新しようと思いながら、
ずっと書けないでいました。
まだまだ言葉に出来ませんが、
あれからようやく1ヶ月、
書いてみようと思います。

1月12日、アトリエの作家、晴子さんが永眠されました。
アトリエとは20年以上のお付き合い、
私にとっては親友であり、
家族の様であり、
尊敬すべき作家でした。
東京都美術館の会場で、
晴子さんの作品に触れられた方も多い事と思います。
大きな冷蔵庫にあしらわれた布の数々がキラキラと輝いていました。

いつもそばに居て当たり前だった、
心から信頼出来る仲間を失って、
体も心もポッカリ大きな穴が空いた様です。
東京のアトリエに行けば晴子がいて、
「昨日何食べた?ゆーた君元気?」
と話し掛けてきそうで、
洗面所に行けば顔をクチャクチャにしながら歯を磨く晴子がいそうで、
トイレに行けば一生懸命お掃除をしてくれる晴子がいそうな気がします。
それくらい私達の生活の中に
晴子がいる光景は自然なものでした。
我が家の長男に「ゆうた」と言う名前を付けてくれたのも、晴子でした。

晴子は生まれつき心臓が悪かったので、
いつか自分より先にと、
覚悟はしてきたつもりでした。
だからこそ今のうちに、と、
絵のクラスはもちろん、
エコールでもプレでも、
出来る限りの事をしてきました。

晴子がやりたいこと、
作りたいもの、
好きそうな事が制作、作品へと繋がるよう心掛けてきました。

晴子の生きた証を残すべく、
大げさではなく、私も佐久間も、
いつも頭の隅にその事を意識して
晴子と向き合ってきました。
彼女が心から喜ぶ経験が多いほど健康に繋がるだろうし、
そうでありますように、と願ってきました。

あまり人に言った事はありませんが、晴子に限らず、
アトリエの仕事をする時には
いつもどこかにこの気持ちを持って取り組んでいます。
だから制作に立ち会う時には、
こちらも真剣になります。
2時間のうち30分の子、1時間の子、
人それぞれに集中する時間は違いますが、その瞬間は突如訪れ、
その時の、何とも言えない、
相手の命に触れる感覚。
もちろんその時、
私の命も相手に触れられています。
そうして生まれくる作品には
自ずとその人そのもの、生き様が表れます。
だからどの作品も美しいのかも知れません。

みんなの命の証を残しておきたい、
と言う思いは、
時に余計なお世話かも、とも思っていたのですが、
今回改めて、
作品を沢山残してあげられて良かった、と思えました。
それはもちろん晴子にでもあるけれど、
残されたご家族へ晴子が喜んで作ったものが沢山ある事は、
今見るのは辛いかも知れないけれど、いつか喜んでいただける事と思います。
毎日折ってくれた折り紙や、
小さなメモ、
晴子がゲラゲラ笑いながら、
そして真剣に作った作品達と、
その時の想い出が残ったこと、
寂しい時にはそれらに触れられる事が、
これから私の支えになってくれそうです。

いつも笑っていた晴子、
いつも人の事を案じていた晴子、
いつでも優しかった晴子、
鋭かった晴子、
みんなに愛された晴子、
みんなを愛した晴子、
エスプレッソが好きだった晴子、
私の歯磨き粉が好きだった晴子、
亡くなった人たちとお喋り出来た晴子。
きっと今頃、お空でパパに会ってるね。
晴子、ゆーたがね、夜、星を見るたびに
「晴子姉ちゃん、どの星かなぁ」
って、言ってるよ。

晴子、ありがとう。
いっぱい色んな事を教えてくれて、
本当にありがとう。
出会えて良かった。
ダウンズカフェ、一緒にやる約束だったのに、
間に合わなくてごめんね。
よしこさん頑張るから、お空から応援しててね。

またね。